子供の味覚に異変が起きている、ということが一部で話題になっていますが、実はこれは子供だけの問題ではありません。子供は親や大人が与えたものを食べることが大半なので、その大人の味覚が狂っているので、子供の味覚も狂ってしまったわけです。
では、なぜ人々の味覚は狂ってしまったのでしょうか。それは、亜鉛という体に絶対的に必要なミネラルが不足しているからです。亜鉛は必須ミネラルの一つで、体からまったくなくなってしまうと人間は生命を維持することができません。人間には完全に欠落すると生命を維持することができなくなる、つまり生きていく上で必須の栄養素が約50種類あり、亜鉛はそのうちの一つなのです。必須栄養素はどれも、体に必要な量を補えないと、それに応じて健康のレベルは下がっていきます。必要な量はそれぞれの栄養素によって違いがありますが、亜鉛のように必要量が微量であっても、それは優先順位が低いということを意味しません。
生体中に約1.4~2.3g存在しているといわれ、1日の必要量も10~15mgとごく微量である亜鉛ですが、そのはたらきは重要です。酵素の構成成分の一つとなり、また蛋白質の合成にも関わり、膵臓から出るホルモン・インスリンの生成や機能への関与、免疫機能の賦活作用、生殖機能への関与(亜鉛はセックスミネラルと呼ばれることもあります)など重要な役割を担っていますが、味覚への関与もその一つなのです。
亜鉛をはじめとするミネラルは、体内でつくりだすことはできません。よって、体の外側から摂り込むしかないのですが、通常は食事から摂取されます。しかし、現代人の食事内容は「通常」とはいい難いものになっています。ファストフード店やファミリーレストラン、コンビニエンスストアで提供されている、工業製品化された加工食品ばかりで構成された食事は到底「通常のもの」とはいえません。亜鉛やクロム、鉄をはじめとする重要なミネラルがほとんど含まれておらず、こうした加工食品が食生活の中心となっているとすれば「憂慮すべき事態」です。
また、不足を補うために安易にサプリメントに頼ることは、過剰摂取という別のリスクを抱えることになりかねません。
家庭料理のシステム化
では、どうしたらよいのでしょうか。
答えは簡単です。質の悪い外食をやめ、工業製品化された加工食品を避けることですが、それを容易にさせるのが家庭料理のシステム化なのです。
加工食品を食べ続けて味覚が鈍くなると、どうしても濃い味を求めるようになります。するとまた、濃い味付けが施されている加工食品に手を出し、味覚の狂いに拍車をかけるという完全な悪循環です。私たちの体が食べたものでできているということを本当に理解しているのであれば、味覚を狂わせるような内容の食事はおのずとしなくなるはずです。
劣悪な外食を避け、工業製品化された加工食品を排除し、精製されていない複合炭水化物を食事のベースにすれば、味覚はすぐに元に戻って正常になります。なぜなら、味を感じる味蕾(みらい)細胞の新陳代謝は非常に速いからです。体の中でも味覚は、大切な感覚だからでしょう。それもそのはず、生きていくためには食べなければならず、何を食べるべきかは舌の感覚が決めているのですから。
子供たちの味覚を守るために、まずは大人の味覚を正常にしましょう。
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